星の子の使命について語るには、まず「使命」という言葉の意味について考えなければなりません。
適当に検索してみると、
・使者として受けた命令。使者としての務め。
・与えられた重大な務め。責任をもって果たさなければならない任務。
と出てきます。
確かにそうなのでしょうが、はっきり言って肝心なところがよく分からないです。
Wikipediaを見ると、「命令」「目的」「任務」「責任」の項を参照するよう言われます。うーん、ちょっと雑です。まあ、曖昧な概念ではあるのでしょう。
とにかく、使命というのは定義として果たすことを求められているものであることは分かります。
ただし、星の子が何かをやらないことによって、その星の子は何のペナルティもデメリットも受けません。さすがに犯罪をしたり運営が定めたルールを破ってはいけませんが、それもメタの話で、ストーリーには関係ないことでしょう。
当然しなければ「それをすることで得られるメリットを得られない」わけではありますが、これをデメリットと言うかは人それぞれだと思います。少なくとも、積極的に何かを奪われるわけではありません。
「使命」というのがなんであれ、強制力は持たないということです。そしてそれをするかしないかは、最終的にはあなた自身に委ねられます。星の子についての記事(https://trnk999.wixsite.com/vcos/forum/xing-nozi-toha/xing-nozi-tohayi-ti-he-nanoka )でも触れましたが、星の子は「あなた」なのですから。
さて、では星の子は何を求められているのか。
現在のオープニングでは星の子はこのように言われます。
まず精霊について。
「我らの多くが、これより先、様々な場所にてとらわれています
お願い、星の子よ…どうかあなたの光を落ちた精霊たちへ届けてください」
これは精霊の記憶を解放し、精霊を闇から解き放つことでしょう。最初に「あなたの光は祝福」と語られるので、星の子は精霊に光という祝福を与え、とらわれている状況から解き放っているのだろうと推測できます。
実際にはキャンドルの炎を使っているので、「炎」は「光」であることも分かります。
光の翼については、
「失われた子どもたちを探し光を集めましょう」
と言われます。
英語では「失われた」が「lost」と言われていますが、lostには「迷子になった」とか「途方に暮れた」という意味も含まれています。
光の翼は何らかの理由で途方に暮れている感じなのでしょうか。
神殿に行くと、
「祭壇に光を灯し、この神殿の大精霊を目覚めさせましょう」
と言われます。
大精霊ムービーの描写も合わせ、これも大精霊に光を与えていることになるでしょう。
なぜ目覚めさせる必要があるのかは(もちろん大精霊を救うためというのは前提として)その前、星の封印についての説明にて語られています。
「この封印の先に見えるは神殿、大精霊たちが精霊たちを導き、星へと還していた場所です
ですがその大精霊たちも落ちて久しい…」
大精霊は精霊を星に還すことができるのです。
実際に精霊の記憶を解放しただけでは、精霊は星座に現れません。大精霊の神殿で光を灯し、瞑想することで初めて彼らは天に昇り、星座に現れます。これが「星に還る」ということなのでしょう。
光を与えるといえば、原罪で石の像に集めた光の翼を渡すのもそうです(スクショが下手なので光の翼が映っていませんがこれは星の子が光の翼を配っている時の画像です)。
原罪のサブタイトルでは「失われし者たちに光を」。英語では「Return the light of the fallen」。和訳すれば「倒れた者に光を返してください」になります。そしてこの石の像から出た光の子どもたちは星の子であると思わせるような描写はいくつかあります。たとえば天空に行く際にはフレンドの名前が彼らの一部に現れます。
闇の破片についても星の子はその光で闇を浄化し、赤い闇の破片については最終的に生物の魂が天に昇ります。
これは生物に光を与えていると言えるでしょう。
精霊、大精霊、他の子どもたち、生物、星の子は様々な存在に光を与えます。そして、確かにオープニングにも「皆に光を、星の子よ」と言われます。
しかし、その後に「そしてあなたの使命を果たすのです」と言われるのです。これらは求められていることではありますが、「使命」ではないのでしょうか。では「使命」とはなんなのでしょうか。振り出しに戻ってしまいました。
では、英語版ではこの「あなたの使命を果たすのです」はなんと表現されているのか。見てみると、それは「fulfill your destiny」という表現であることがわかります。これは「あなたの運命を全うしなさい」という意味になるのです。星の子が全うすべき運命とはなんでしょうか?
個人的にはそれは恐らく、「原罪に行き、自分も天に昇ること」「そして地上に戻ってくること」だと思います。もっと簡潔に言えば、「死に、生き返ること」です。
光を与えた者達はどうなるか。全員天に昇っていきます。大精霊だけは特殊で、直接天に昇る描写はありませんが、彼らも最終的には天空に行きます。
もし、Skyの世界で生を全うした命が天に昇ることが自然であるなら、地べたで闇にとらわれている者達を解放することが求められるくらいにそれが「自然」なことであるとしたら、星の子もそうなのではないでしょうか?
そして恐らくは地上に戻ってくることも重要なのです。
以下はTom Zhaoさんの描かれたSkyのコンセプトアートが掲載されているサイト(英語)です。
この116枚目の一部分、ここが重要です。
「一つ一つの魂は人間の世界と空の世界を通り円環となって巡っており、」
人間の世界というのはつまりSkyでいう「人間」が暮らす王国であり、空の世界とは今の天空なのでしょう。つまり、全ての魂は王国と天空を行き来しており、それがこの世界にとっての「自然」なのではないでしょうか。
他にも生命の循環を表すような絵は複数あります。
たしかにこのコンセプトアートは古いので、今もこの設定が生きているかは分からないじゃないか、と言われればそうかもしれません。
しかし唐突にメタなことを言ってしまいますと、このゲームは「周回前提」のゲームなので、命の循環が世界のルールであるというのは頷ける話です。
実際ゲーム内でも天空に行った後、地上に帰る時に、初めてスタッフロールが流れるのです。ゲームとしてのストーリーを一応クリアしたということになるでしょう。
つまり自らが生まれ変わって光、命を循環させることこそ星の子の「使命」なのではないでしょうか。
とはいえこれは考察上の話であって、重ねて言いますが実際一回も原罪、そして天空に行かなくても何のペナルティもデメリットも起きません。確かに星のキャンドルが手に入れられず、追加の光の翼が得られない、大精霊が呼び出せずアイテムを交換できない、などの恩恵は受けられませんがそれだけであって、星の子が強制的に死ぬとか、闇に蝕まれるとか、そういうことはゲーム上起きないです。多分運営としては暴風域~天空の流れがこのゲームの1番の見せどころなので、1回くらい原罪に行ってほしいんだろうなとは思いますが。